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グローバル化に伴う国際税務戦略の必要性 [グローバル化とは]

日系企業の国際競争力を低くする理由の一つとしてよくいわれているのが日系企業の実効税率が高いということ。例えばこんな感じ。

日系       VS        非日系

本田技研 43% VS 現代自動車(韓国) 21%
ファーストリテイリング 45% VS Inditex(Zaraの会社、スペイン) 24%
武田薬品工業 37% VS Pfizer(アメリカ) 21%

※連結実効税率は09-11年の3年平均 (Hideグローバル化研究所調べ)

日本では法人税を納付して、国家、地域に貢献するという美徳があるが、欧米系の企業は(たぶん)そうではなく資本主義のルールに則って容赦なく株主の利益を極大化しようとする。つまり税金を払わないということが経営者の腕の見せどころの一つだということだ。

というような税金に対する考え方の違いもあるが、やはり一番の問題は日本の法人税の仕組みのせいで、日系企業の実効税率は諸外国の企業に比べ高くなってしまって当然という状況である。

日本の法人税の問題として以下のような問題がある。

・日本の法人税率自体が高い
・優遇税制の使い勝手が悪い
・(減価償却等の)加速度償却はあるが、割増償却がほとんどない(早いタイミングで損金算入させ、キャッシュフローを増加させる仕組みはあるが、実効税率は下がらない)
・タックスヘイブン対策税制があり、海外子会社が低税率国の恩恵を受けづらい

専門的な話になってしまうが、上記の例ではホンダとファーストリテイリングの実効税率が日本の実効税率(当時40.7%程度)を上回っている。

この原因は連結対象の会社のうち何処かで欠損を出していていたり(移転価格の問題、収益力の問題等)、本社の実効税率が40.7%を上回っていたり(益金算入、損金不算入が多いのが原因?)するからだ。国際二重課税の排除ができていないのも問題であろう。

こういう状況を打破するためにTESCM(Tax Effective Supply Chain Management)を考える必要があり、多くはHQや事業統括会社を低税率国に置いたりする。例えばシンガポールやアイルランド、香港等である。

日系企業がここでぶち当たる壁はIP(知的財産権)を日本で保有していたり、言葉の問題でシンガポール等に事業統括会社をおけなかったり、おいても中途半端だったり、本社が事業統括会社に権限を委譲しなかったり、、、というものである。

仮に税引前利益が1兆円あり、ライバルとの実効税率差異が20%だとすると、ライバルには2000億円余分に利益がでることになる。これを研究開発や設備投資に利用すれば、当然彼らは日系企業よりも有利にビジネスを展開できる。

税務戦略がずさんでライバルに負けて倒産してしまいました・・・というのでは洒落にならない。税務戦略もグローバル化の波にのって行かないと諸外国のライバルにおいてけぼりにされるだろう。
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