SSブログ
グローバル化とは ブログトップ
前の10件 | 次の10件

これからの海外マネジメント 2/2 ~移行方法をどのようにするか~ [グローバル化とは]

前回のエントリーで海外マネジメントの最終形は「地域統括マネージャー(日本人でも、非日本人でもよい)のもとで、現地社員(国籍は現地国籍が望ましい)がその海外拠点のトップとなること」と書いた。またそれに行くまでに10年単位の時間がかかることも。

ということで、これからの海外法人のマネジメントはまずは駐在員、現地採用日本人、現地社員の3本柱による経営を確立し、徐々に駐在員を減らし、さらに現地採用日本人を減らしていく事をすすめる。

やはり日系企業はドイツを除く欧米企業と比べると駐在員の人数が多くコストが高い。さらにその駐在員に大きな権限が与えられていない事が多くあまり効率的とはいえない。
仮に権限を与えないのであれば、(日本本社のやり方を知らない)現地採用日本人や現地社員を経営層に登用してもさほど影響がないし、コストも安い。(全般的に実務自体は現地社員の方ができることが多い)

ここでの問題は現地社員、当然現地採用日本人を含むのだが、彼らの離職率が高いことである。離職率が高い理由はガラスの天井(経営陣は駐在員が占めており現地社員にチャンスが無い)と欧米系に比べ低い給与である。

この登用によりガラスの天井問題は解決するし、経営層に昇格させることにより、現地社員にそれなりの昇給を準備すれば二つ目の問題も解決する。(駐在員削減分で昇給分を捻出できるし十分おつりもくる)

駐在員を極力削減した後に、幹部になった現地採用日本人と現地社員を競わせ実力主義を徹底すればいい。難しいのはどのように実力を測るか、公平な競争をさせるかであるが、これを駐在員や地域マネージャーにやらせることで彼らのマネジメント能力の成長にもつながる。事前準備をしっかりする必要があるけどね。
(本当に実力主義の評価をするためには、評価者が被評価者と目標の設定、コーチング、達成度の測定を本気でやらなければならないため評価者の成長にもつながる。これを本気でやっている会社は実は少ない)

また、以前触れた長期コミット型の駐在員を少数の駐在員もしくは、現地採用日本人の代わりに配属するのもありだと思う。その場合、至れり尽くせりのベネフィットではなく徐々にベネフィットが少なくなっていくパッケージにしたり、現地に根付くインセンティブ(持ち家補助等)を考える必要があるだろう。

すべては日本の本社が今まで通りのやり方を変える勇気を持つ事から始まる。同質な人材によるマネジメントだけで海外ビジネスをハンドルできるのかを自信に問いなおすべきである。

ちなみにローマ帝国は最初のほうの皇帝はローマ出身者だったが、途中からスペイン出身、アフリカ出身の皇帝が輩出され、彼等は結果を残した。
帝国に忠誠を持ち、能力があれば出自や出身は関係ないのである。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:仕事

これからの海外マネジメント 1/2 ~理想形までいくには時間がかかる~ [グローバル化とは]

ここ最近、やたら海外駐在員と現地で働く人たちの事を書いてきたが、最後に今後の日系企業の海外拠点のマネジメントをどのようにすべきかを書きたい。

例によって、業種、規模、エリアによって異なるが一般論として受取ってほしい。

最終形は、地域統括マネージャー(日本人でも、非日本人でもよい)のもとで、現地社員(国籍は現地国籍が望ましい)がその海外拠点のトップとなることであろう。BtoCだろうが、BtoBだろうが現地社員の方が文化、習慣、言語全てにおいてほとんどの外国人よりも有利である。

とはいえ、日系企業の文化をわかりつつ、パフォーマンスを上げれる現地トップを探すのは難しい。理由はこんな感じ。

1.日系企業の報酬体系が欧米企業に劣る
2.日系企業の文化、言語がわかる人の絶対数が少ない
3.日本本社の経営陣が多様性のある経営に慣れていない

3が一番の問題で、マネジメント層の海外経験や語学力の不足、多様性に対する理解不足が原因。これは彼らが必死に頑張るか世代交代を待つしかない。残念ながらおそらく後者になる(笑)

2は3が改善されれば自然と重要性が低くなってくる。おそらくマネジメント層が国籍、宗教、性別を問わずに選ばれるようになれば日系企業的文化は薄まるだろう。ただ、日本人女性の管理職の人数も少ない日系企業で、ダイバーシティを求めるのには時間がかかる。

あ、ちなみに経営信条が日本企業的であることには全く問題が無いと思う。特にサービス業は日系企業できな文化の方が競争力が高い場合もあるし。

1は2で述べたように、ダイバーシティが高まる時点で、必然的に修正されていくだろう。(でないと人材採用がスムーズにできない)

経営陣が本気でグローバル化しようと思い、本気で行動に移し始めた時から、流れは変わっていく。
とはいえ、理想形までは10年単位で時間がかかると思う。

新興企業はいきなり多様性を確保しながら経営していくことは可能だが、伝統的な日系企業は中間管理職以上の大多数が日本人なので、人員の入替には相当時間がかかる。
楽天やユニクロ、GREEはそういうことをやっているのに、なぜうちの会社(典型的な日系企業)はできないのか?というのは暴論である。

そこで、この移行期間に現地採用の日本人をうまく活用していくのが必要であると言いたい。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:仕事

あの駐在員、ホント使えないよね。 [グローバル化とは]

給料たくさん貰っているくせに。。。という話を良く聞くが、これは半分あっていて、半分間違い。

文句を言われてる駐在員は大体こんな感じ。

・決断力が無い(そもそもマネジメントメンバーとして赴任しているのに、物事を決められない)
・語学力が低い(現地スタッフや社外関係者と自力でコミュニケーションできない)
・実務スキルが低い(現地の仕事に慣れていない、駐在したらいきなり管理職になった)
・真面目に仕事をやらない(いやいや駐在している、駐在期間をうまくしのぎたい)
・プライベートがだらしない(お姉ちゃんに入れあげたり、私用の経費を会社の経費でおとしている)

後半の2つはいいわけの余地もないが、前半のほうはある程度仕方ないと言える。(自分が駐在員だからって駐在員の肩を持つわけではない)

日系企業は本社主導型が多く(だから駐在員を送る)、駐在員に十分な権限が与えられていない会社が多い。
こうなってくると独自の決断というものが独断と誤解され、サラリーマン人生を危険にさらすことになる。なので決断できない。

語学力が低いのは、多くの会社で赴任前研修が無いからである。一部大企業で語学留学をしてから正式赴任したり、トレイニーとして駐在させていたりするが、全体からするとそんなのはごくわずか。
ほとんどの会社はOJTという名のもとにぶっつけ本番で赴任させるのである。

また最近海外に進出し始めた会社は、古い社員の採用時に語学力なんかはあまり重視していなかっただろうから、現地で頑張ってもらうしかない。

実務スキルが低いというのは一番の誤解で(本当にスキルのない人もいたりするが)、いわゆるルーティンワークをやっている人ほどそういうことをいいがち。

マネージャーは、そりゃ全ての実務をわかった上でマネジメントができればベストであるが、現実にはそうはいかない。
役職が上がるほど、自分のところに入ってくる情報はマネジメントよりの情報になり、現場の情報は減ってくる。実務担当者は現場の情報をたくさん持っているが、マネジメント側の情報を持っていない。

ところで、駐在員のベネフィットが良くてうらやましいという人も結構いるが、ある意味誤解である。

確かに金銭的にはいいと思うが、駐在員の一番の問題は自由が無いこと。赴任する場所も自分で選べるわけではないし、赴任する期間も選べない。
悲惨なのは、そこそこの会社に勤めていた奥さんを、海外赴任をきっかけに退職してついてきてもらったが、会社の都合によりわずかの期間で帰任になってしまったりとか。
あとは、日本に帰任になったのはいいが、事業再編等で帰る場所がなくなってしまっていたりとか。

家族計画やキャリア設計に重要な働く場所、住む場所を選べないというのは結構なストレスなのである。

もう少し暖かい目で駐在員を見てくれれば幸いである。(笑)
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:仕事

現地採用で香港の日系企業で働く [グローバル化とは]

前回触れた2の日系企業の現地採用社員にフォーカスする。

なぜ、日系企業の現地採用の需要があるのか?いろんな角度からその理由を挙げてみる。

■企業側からの視点
・駐在員のコストが高いから、ベネフィットの少ない、現地レベルの給与で採用できる日本人はコストパフォーマンスが高い
・駐在員の語学能力が低い、現地の習慣等の理解が浅いので、そのフォローや現地社員の懸け橋となれる人材が必要
・長期的に勤務できる日本人がほしい
・サービス、製品が日本人、日本文化に依存している

■労働者側からの視点
・海外で働きたい、その国が好きだ
・現地の人と結婚している、一緒に住んでいる
・日本人としてのスキルを活かしやすい
・駐在で来たけど、帰りたくなくなったからそのまま現地で働く
・日本で働くのが嫌だ、明るい未来が無い
・海外の方が職責があって面白い
・現地企業やMNCで働くほどの語学スキルや専門スキルが無い
・MNCに比べ解雇される事は少ない
・日本より手取りが良い国もある

■社会環境からの視点
・就職氷河期に日本で仕事が無く、(留学して)海外で職を見つけた
・日本の雇用機会が減り、日本人の職も海外に移りつつある
・海外の方がレベルの高い業界がある

香港にある日系人材エージェントで働いている友人、知り合いに聞くと、クライアントの9割近くがやはり日系企業。
日系企業向けに現地採用の日本人と(多くは日本語ができる)現地人を紹介している。

香港にはあまり産業が無く、金融、不動産、観光、貿易、小売、物流、外食、プロフェッショナルファーム位しかない。この中で日本人が働ける産業は限られているし、残念ながらエンジニア等の求人は少ない。

一つ香港の求人が掲載されているHPを紹介するが、これを見ると大体どんな求人があるかわかってもらえると思う。
http://kamome.cn/search/job_search

で、給与レンジは月給で15,000HKD(15万円)~40,000HKD(40万円)位。40,000HKDを超えるのは金融かプロフェッショナルファーム、歩合制の仕事、かなりランクの高い管理職、専門職位だろう。
会計士とこの話をしたら、「あら、ずいぶん低いのね」と言っていた。この人はかなり貰っているんだよね。。。

おそらく平均月給は20,000HKD~25,000HKDあたりじゃないかな。(香港の平均給与は12,000〜13,000HKD)
月給以外はダブルペイ(もち代みたいなもので慣習になっている)で1月分、ボーナスが0~数カ月分と言ったところ。

実は同じ仕事でも、日本人だと香港人よりも高い給与をもらえる事が多い。理由は日本人だから。
なので、現地採用の人は自然と日系企業で働く事が多いのである。
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:仕事

日本人が香港で働くということ [グローバル化とは]

香港には約21,000人の日本人がいると言われている。仮にその7割近くが働いているとすると15,000人程度が働いている。

就業者をおおざっぱに区分すると以下のような感じになるだろう。失業リスクが低い順に並べてみた。

1.駐在員
2.日系企業の現地採用社員
3.非日系企業の現地採用社員
4.非日系企業のインターナショナルトランスファー
5.自営業、起業者

おそらく人数的には 2>1>4>3>5 の順じゃないかと思う。

1についてはさんざん書いたので説明不要。

2は日系企業で、駐在員ではなく現地採用で働いている日本人社員の事。このタイプの就労者が香港の日本人社会で一番多いのではないかと思う。

良くも悪くも日系企業は系列があったり、日本人同士で物事を決めたがったり、日本語以外の言語で話をするのが苦手なので日系企業では日本人の現地採用の需要がある。社内でもそうであったり、顧客企業がそれを要求してきたり。

あるとき、某銀行に「めったにうちの会社に来ないしすぐ担当が変わるから、駐在員じゃなくて香港人の安定した担当者をつけてくれ、会話は英語で問題ないから」と言ったら、「いや、御社との関係は重要なのでそれはできません」と言われた。そう思うなら担当を変えてほしい(笑)

会計事務所に、忙しそうなので日本人のパートナーがわざわざ来なくてもいいよと言ったら、パートナーがあっさり香港人のパートナーに変わった。だけど、彼らが言うにはそんな事を言ってくれるのはうちの会社だけで、ほとんどの会社は日本人のパートナーかマネージャーが来ないと文句をいうので少ない人数をやりくりしているそうな。

3は現地採用で働いている日本人だけど、勤務先が非日系のところ。多くの場合は日本人としての特性(言語だったり、文化・習慣の理解度だったり)を買われ日系企業、日本人向けにビジネスをやっている部門で採用されている。
それとは別に完全に日本とは関係ない仕事をしている人も少数だが居る。

例えば日系メーカーに電子部品を販売していたり、不動産業で日系企業、日本人向けに売買や賃貸の仲介をやっていたり。日系企業同士の鉄の結束(笑)を破るのに苦労しているらしい。

4は金融業界に多い。東京オフィスで働いていたけど、香港に異動になったり、大変なのは日本の部署がクローズするので会社を辞めるか香港に異動するかを迫られたり。

まあ、彼らは大体語学力に優れていたり、留学経験があるのでサバイバル能力が高い。そしてビジネスをグローバルルールで、かつ英語で行っているので日本人としての特性、特徴はあまり求められていなさそう。おそらく一番フラット化したグローバル競争に組み込まれている人たちだ。

5は会社経営だったり、自営業だったり。海外まで来て自分でビジネスをやる人はすごいバイタリティがあると思う。中にはそうせざるを得なくなり、自分でビジネスを始め大成功した人もいる。

やはり日系企業、日本人向けのサービス、製品、日本製品を扱っているビジネスが多い。

次回は2の日系企業の現地採用社員にフォーカスしてみたい。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:仕事

駐在員のベネフィットについて [グローバル化とは]

今回は駐在員のベネフィットに関してのエントリー。逆に言えば、会社からみた駐在員のコストについて。

これも業種、会社の規模、エリアによって異なるんだけど一般的なパッケージについて書いておく。

■給与
・通常、日本で支給されている給与がベースとなる
・非役職者は残業代相当が上乗せされるケースが多い
・海外の役職に応じて給与が調整される場合あり
・海外駐在手当が支給される場合あり
・ハードシップ手当(特に途上国)が支給される場合あり
・地域差手当(特にヨーロッパで物価の高いところ)が支給される場合あり
・手当等はないがベース給与を数十%~数百%増しにする場合あり
・ボーナスは日本のベース給与を基にした支給が多い
・現地の業績によるインセンティブを支給する会社は少ない(赴任された地域により不公平がある?)
・個人所得税を会社が負担する場合があり

■住宅、車
・借り上げ社宅が一番多い(全額会社負担だったり、一定割合個人負担だったり)
・会社が寮を保有している場合もある(一部従業員負担だったり)
・光熱費は社員が自分で負担することが多い
・駐在員に運転させない会社もある。その場合は運転手付きの車を会社が保有してたり、ハイヤーを手配
・アメリカのような場所では社有車を利用し、個人がガソリン代を支出することが多い
・家族が車を必要としている場合は、社員が自費で購入することが多い

■子弟教育
・一定額までは会社が出すところが多い
・教育費補助は日本人学校のみ認めるという会社もある
・幼稚園の費用を出す会社は多い

■帰国費用等
・帰国費用は会社が出すが、2年に1回、1年に1~2回だったりと会社によってまちまち。家族構成により異なる
・日本に出張した際に、それを帰国とみなし、帰国費用を支給しない会社もある
・逆に日本にある程度の頻度で帰らなければならない人に日本へいく出張をある程度の用意する会社もある
・引っ越し費用は会社負担

■医療費、社会保険
・医療費は駐在員向けの海外旅行保険で対応する会社がほとんど
・現地の社会保険と日本の社会保険を2重取りできる会社もある
・日本の年金、健康保険は日本の法人が留守宅手当として支給している場合がほとんど

基本的に、駐在員のパッケージは

・日本で生活するのと同じ水準を維持しましょう(子弟教育の補助は日本で公立に行けば社員の負担はないわけだからその分は会社で面倒見ましょうという意味)
・移動に伴う費用は会社で面倒見ましょう(家賃、帰国費用、引っ越し代等)
・日本との生活水準の差は金銭でカバーしましょう(ハードシップ手当等)
・何らかのインセンティブを与えましょう(駐在手当、所得税補助等)

というようなコンセプトで設計されていることが多い。当然、有名大企業ではベース給与が高かったり、手当の金額が大きかったり、家賃の上限が高かったりと良いこと尽くし。

会社からすると駐在員のコストは大きく、途上国の小さい現地法人だと駐在員のパッケージの合計が会社のコストの大半を占めているという笑えない状況にもなるうる。

今後、グローバル化が進み海外進出がさらに進むと思われるが、この駐在員ベネフィットもこの時代に合わせたパッケージに変更しなければならないだろう。
海外で働くのが当然になってきて、駐在員に対して過剰なベネフィットを与える必要がなくなる方向になると思う。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:仕事

海外駐在員の任期は何年であるべきか 3/3 ~じゃあ何年にすればいいの?~ [グローバル化とは]

海外駐在の任期は何年が適当か・・・というと答えはDependsなってしまう。

やはり企業規模、業態、海外進出の度合い(輸出だけ、製造だけ、現地でサービスを行うか否か、リージョナルHQをおくか)によって変わってくる。

このように書いてしまうと身も蓋もないので、いくつかアイデアを出しておく。

1.年齢や期待される役割に応じて任期を決める

研修生やプロジェクト担当・・・短期
シニアマネジメント、エグゼクティブ・・・短期~中期
ミドルマネジメント、コアバリューを支える実務家・・・中期~長期

※短期・・・2年以内、中期・・・2~5年、長期・・・5年以上

2.地域によって任期を決める

優秀な現地スタッフや現地採用の日本人が探しやすいエリアは駐在員を減らす、任期を短くする。
現地環境が悪いところは任期を短くする。(長くする場合はインセンティブを用意)

3.本人の意思により決める

会社の規程として、例えば3~5年でローテーションをしたりするが、本人に長期赴任の意思があり、会社の要求する要件を満たしていれば長期赴任とする。一律に規則をあてはめる必要はない。


基本的に短期で赴任させるのは会社側から見るとそんなに難しいことではない。問題は長期赴任が必要な場合に、どのように社員に赴任させるかである。

そうなると一番てっとり早いのは3の本人の意思になるわけだが、ここでの問題点は長期赴任の可否が属人的になっていまい、会社のルールとして運用しづらいことだ。とはいえ、短期、中期の駐在員だけでは会社の価値が上がる仕事ができるとは思えない。

サムソンが地域専門家といって駐在員をある特定の地域に長期間(10年以上の単位)派遣するのは有名な話である。すべての駐在員がそうである必要はないが、駐在員のうち一定の割合はこういうタイプにしていく必要があるだろう。

この話は駐在員を送る必要があるという前提で書いている。駐在員を減らす方法等については機会があれば触れてみたい。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:仕事

海外駐在員の任期は何年であるべきか 2/3 ~長期は大変~ [グローバル化とは]

前回書いたように駐在員の駐在期間は短いと意味がない。とはいえ駐在期間を長くするといろいろな問題が発生する。
想定される問題点を列記するとこんな感じ。

・海外赴任を躊躇する人がでてくる(3年なら行ってもいいけど、5年とか8年はイヤだ)
・日本と海外の職務内容に差があり、海外勤務が長いと日本に戻る場所が無い
・駐在コストが高い
・家族が反対する(親の介護問題、子供の教育問題、単身赴任)
・結婚できなくなる
・マンネリ化する
・出世できなくなる

最近の若者は海外に出たがらない・・・という話を良く耳にするが、仮にそれが本当であるならば海外赴任を躊躇する人も多いはずだ。
実際、自分の知る限りでは、海外駐在をさせるにも人がいない(行きたがらない、能力的にむずかしい)会社は結構ある。

「行きたがらない」ということに関しては、企業の海外進出先も影響しているだろう。一昔は海外駐在というと、必死に原油や鉱山を求めて行く商社マンを除けばヨーロッパや北米等いわゆる先進国が中心だった。
生活水準的にも、文化的にも、習得する言語的にも当時の日本人にとっては悪くない場所であった。

ところが、現在では進出先は東南アジアだったり、インドだったり、南米だったりと、正直自分でも赴任するのを躊躇するような国になっている。
インフラの不安定なミャンマーやカンボジアでアパレルの下請け管理をする仕事だったり、ズドンと撃たれてもおかしくない南米の国で自動車部品を生産する仕事だったり。

こうなってくると企業は人を送りづらい。短期ならまだいいよ、みたいな人はいるかもしれないが長期でコミットする人がどの程度いるだろうか?

駐在コストもバカにならない。これに関しては今度駐在員のベネフィットという内容のエントリーを考えているので、そちらを待ってほしい。

個人的には一番の問題は家族だと思う。上述したように介護、教育、単身赴任等色々問題があるが、2点上げておく。

一つは職を持っている配偶者を帯同させた場合の機会損失である。

昔のように、夫が働き妻は専業主婦というのであれば妻、子供に海外生活での適応力があれば問題なかっただろう。
現在では共働きが多く、夫婦のどちらかが海外勤務になり、それに帯同する場合は片方のキャリアが中断してしまうことだ。たまたま帯同するパートナーが汎用スキルを持っており、語学が達者であればいいだろう。(配偶者ビザで働けるのかどいう問題はあるが)
が、そういうのはまれで駐在員の配偶者(ほとんどが女性)は現地では働いていないのが実情である。

駐在が長ければ、その人の仕事のスキルは落ち、もしくは時代遅れとなり帰国時には良い仕事が見つからない、短ければわずか数年の帯同の為に正社員という貴重なポジションを捨てなければならないという悲惨な結果となる。
(こういう場合の為に休職等を認める会社もあるが、絶対数が少ない)

もう一つは独身で赴任した場合である。仮にパートナーがいないときに赴任した場合、現地の男性、女性をターゲットに含めればまだいいとして、相手に日本人を選ぼうとした場合は大変だ。

まず絶対数が少ない。アメリカのNYやLAなんかは日本人が結構いるが、前述した最近の赴任先(インドとか南米ね)は日本人が少ない。
その中で独身かつ、自分の希望を満たす良い相手を探すのは至難の業である。(今度、時間があったら香港の事情を書いてみるわ)

じゃあ、長期赴任も駄目ならどうすればいいの?って声が聞こえてきそうだが、この先は次回へつづく。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:仕事

海外駐在員の任期は何年であるべきか 1/3 ~短期は駄目よ~ [グローバル化とは]

これは海外展開している日系企業で抱えている問題の一つであろう。

雑誌や新聞の記事、周りの駐在員の話、自社の経験等からして理想はどうあれ、現実はおそらく3~5年という期間に落ち着くと思う。

業界や職種によっても差があり、短い業界だと、金融(特に銀行)は2~3年、会計事務所も同程度である。
元々銀行なんかは日本でも2~3年で転勤しているようだが(癒着、不正防止のため)、理由はそれだけではなく、海外経験を積ませるため、海外要員の候補者が多いから、早いペースで回さないとローテーションが追いつかないということらしい。

逆に長いのがメーカーであり、まあビジネスが金融等に比べてロングタームなのもあるかもしれないが、5年を超える人も結構いる。
雑誌にもあったが、某チャックメーカーは10年、20年はざらで、同じ場所に長期間もあれば、いろんなところを転々として合計数十年という人もいるとの事。

結論としては、業界、会社の規模にもよるが短すぎるのは駄目だということ。よくいわれていることだが、駐在3年は短すぎる。

1年目・・・仕事、現地の習慣等がよくわからないまま終了
2年目・・・なんとなく仕事や現地の習慣等がわかるようになり、仕事等がはかどるようになる
3年目・・・本領発揮しはじめるが、そのタイミングで日本へ帰任・・・

上記のように短い期間だと仕事の成果を出せずに、もっと言ってしまうとこれからというところで帰任してしまう。
それに3年くらいだと生活も仕事もうまくいかなくても何とかしのげる期間なので、言語や習慣、現地の仕事に対して真剣に向き合わない人も出てくる。

短期でもかまわない駐在というのは、以下の3パターンくらいじゃないかな。

1.ジュニアレベルで研修、雑用、現地でのネットワークづくりを目的とした駐在(というよりも研修生)
2.システム導入や技術移転等の出張ベースでは長すぎて対応できないプロジェクト要員
3.シニアマネジメント、エグゼクティブで短くてもいいから、海外ビジネス、もしくはマーケットの最前線を経験させる

実務レベル、つまり顧客開拓やリレーションシップの構築、現地法人のマネジメント等のコアバリューの提供を期待されている人の駐在期間は最低5年は必要かと思う。

個人的な意見を言うと、銀行の駐在期間の短さはどうかと思う。話を聞くと、一人で2~3百社の担当をしていたりするので、会うのは年に1回か2回。
で、駐在期間が短いので、下手するとこっちが名前を覚える前に(たぶん向こうもこちらを覚えていない)引き継ぎのあいさつに来る(笑)

とはいえ、駐在期間が長すぎるのも色々問題がある。次回はそのあたりについて触れたい。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:仕事

海外駐在員はなぜ必要か? 1/2 [グローバル化とは]

エントリーが連続になるかわからないが、前から気になっていた海外駐在員関連の話をしていきたい。
ちなみに自分も海外駐在員であり、その役割やローテーション期間等々色々と考えてきた。

そもそも、なぜ海外駐在員を送らなければならないのか?いくつか考えられる理由と前提を挙げてみる。

1. 日本の本社の方針にしたがって現地の運営を行うため
2. 日本人の駐在員の方が現地社員より優秀(だと思っている)
3. 製品、サービスが日本本社、日本式、日本人の能力、コネ、日本語に依存しているから
4. 日本のマネジメント層が現地語もしくは英語を理解できないため、日本人にレポートをさせたい
5. 現地の社員を信用していない、現地化するつもりが無い
6. 日本人社員に海外経験を積ませるため
7. 日本の本社で使えない、使いづらい社員をはじき出すため

1. については、日系企業だけでなく、海外展開している欧米企業も同様の方針を取っている。(ただし日系企業より駐在員の人数は少なめ)

本社方針のもとに経営をするはずなのに、現地法人の社長が変わったら現地の経営方針が変わるみたいな話もあったりする。

基本的にB to C系のビジネスの方が現地に裁量が与えられるケースが多い。

2. は以前も書いたが、ドイツ系の会社に多いようだ。とくに高度サービスやテクノロジーを提供している業界が該当する。

あと個人的には、教育レベルの差が大きいので、中進国や途上国においては、語学は出来なくとも日本人社員の方が現地社員よりも優秀な人が多いと思う。経済力≒教育レベルなので当たり前なんだが。

3. 一部2と被ってしまうが、イメージしているのは現地の日系企業向けの営業やサポートだったり、日本式サービス(小売や外食)が該当する。また製品を日本で開発していたりすると、製品情報の展開、共有が本社主導になることが多い。

4. 残念ながら4のケースも多々ある。こういった意味では楽天の社内公用語を英語にするという試みは、ある程度意味があるであろう。経営者は必死こいて語学を勉強すべきである。

また、日系企業の言語に関する問題点の一つに現地法人の公用語というものがある。現地語、英語、日本語のどれを選ぶか?

中国語やスペイン語位話者の多い言語ならそれらを現地語にするのもありだが、会社全体のコストを下げようとすると英語がベストであろう。韓国や中国では簡単だが、ビジネスレベルの日本語を話せる人は世界的に少ない。まあ、こういう問題により現地採用の日本人というマーケットがあるのだが。

ここは日系企業のハンデキャップである。欧米企業であれば、ほぼ確実に公用語を英語にしてしまうのだが、日系企業だとそうもいかず、限られた日本語人材を奪い合うという悲惨な状態になる。

つづく

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:仕事
前の10件 | 次の10件 グローバル化とは ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。