SSブログ

日本の雇用慣行の問題点 [キャリア論]

日本IBMの行っている人員削減がニュースになっている。当然、解雇された社員は会社に対して訴訟を起こすわけであって、この決着がどうなるのかが興味深い。

解雇の条件等詳しいことはわからないけど、自分の予想は日本IBMが敗訴するというもの。理由は整理解雇の4要件を満たしていなさそうだから。

整理解雇の4要件とは。

1.人員整理の必要性
2.解雇回避努力義務の履行
3.被解雇者選定の合理性
4.手続きの妥当性

日本IBMは利益率が落ちているとはいえ黒字を確保しているし、記事を読んだ感じでは希望退職も行われていない。日本の法律が判例主義である限り、これじゃ会社側の敗訴になるだろう。

さて、日本の雇用慣行の問題を書こうとするととてつもない量になるから、焦点を一つに絞る。やっぱり最大の問題は事実上会社都合の解雇ができない事、つまり労働法を順守しようとすると自動的に終身雇用になってしまうということだ。

カルロス・ゴーンもHKUSTに来た時に、結果的に終身雇用になることはいいことだが、それが目的になることは問題であると言っていた。

この問題の難しいところは終身雇用だけに問題があるわけではなく、給与システム等いろんな問題が関わっていることである。

一般的に長く働けば働くほど給与は上がっていくが(年功給)、能力や仕事の成果がそれに見合っていないと、企業側から見るとオーバーペイメントとなる。そうなると解雇対象になる人たちは自然と中年以上の人となってくる。

彼らの給与は既にかなりの金額なので、その金額で再雇用する会社は稀だろうし、彼らのスキルがマーケットにマッチしていないことも多い。

乱暴だが、解決策を挙げるとすれば、職能給制度を採用する事だろう。年齢や勤続年数にあまり関係なく、この仕事の給与はいくらですよ、みたいにポジションに価格をつける。(一般的に欧米企業がそうやっている)

当然、同じポジションでも経験の有無によって差はつけるべきだろう。昇給はあまり見込めないかもしれないが、中高年がいじめにあって会社を追われるようなこともないだろうし、若年層の就業機会を増やすチャンスにもなる。(残念ながら右肩上がりの給与は見込めない。)

つまり職能給制度を導入すれば、会社都合の解雇が減少する可能性が高くなると思っている。

また、同時に金銭保障による会社都合解雇も認めるべきだ。香港のように1か月前通知で簡単に解雇できてしまうのは極端だが、勤続年数等に応じたある程度のパッケージを法制化しておけばいい。

整理解雇の4要件の問題は、船が沈み始めて、あとちょっとで全部沈んでしまうという状態にならないと解雇できないということだ。船は当然沈んではならないし、他の船と競争しているのだから機敏に動けなければならない。船が競争に敗れたり、沈んでしまったら、他の乗員も全滅してしまうのだから。

いままではライバルの船は日本の巨艦だったが、いまはいろんな国の巨艦だったり、小型艦だったりするのである。ずっと重い荷物を載せていると、彼らに引き離されるだろうし、やがて沈んでしまうのである。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:仕事

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。