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神の雫 [映画とか小説とか]

お・・・おお、お・・・ この香りは、そしてこのテロワール・・・(遠峰一青)

という訳で今回は漫画の話。
今回のエントリーは普段とは全く指向が違う。あんまりこういう事を書くのは好きじゃないんだけどね。

タイトルは(見ていないけど)ドラマにもなった人気漫画。十二使徒と神の雫を求めてワインを究めんとする物語。
ちなみに自分はワインに関してはあんまり蘊蓄に興味はなく、雫のように美味いものをみんなでワイワイとしこたま飲みたいタイプ。

この漫画、実は最初は大げさな漫画だなあと思っていたんだけど、途中から相当のめり込んできた。
ストーリー自体は良く出来た、というか都合のいいように進んで行くんだけど、その中にある人間ドラマが素晴らしい。

ワインの味を表現するのが、非現実的なくらい芸術的というか、大げさなんだけど、その表現が漫画とは思えないほど良く出来ている。
(多分「漫画とは思えない」という所に、無意識のうちに文学より漫画の方が芸術的に下という意識があるのだと思う。味に対する表現自体は絵だけなく文章もあるので文学と違った味わいなのである。)

さて、何が素晴らしいかというと漫画を読んだ人にしかわからないんだけど、第6の使徒と第8の使徒のストーリーというか、この対象となるワインの表現(神咲豊多香の描写)がよく描けていて、この漫画がメジャーでなければ自分でパクって使いたくなるくらいである。
そして、その使徒に隠されたドラマが良い。

まだ物語は終わってはいないのでどういう決着になるかわからない(というかこの時点では第9の使徒までしかわからない)んだけど、自分がなぜ第6と8使徒の表現が好きかが良くわかった。

どれだけの人がストーリーの先を読めるのかわからないけど、これを読んでいるときに何回か先が完全に読めるのがわかった。特に気に入っている第6と8がね。
多分それは、ある意味感情移入しているからだと思う。(いや、もしかしたら誰が読んでもヨメヨメの展開なのかもしれない)

雫に感情移入するか一青にのめり込むかで感じ方は違ってくるだろう。とあるシーンでは思わず涙を流しそうになってしまったよ。

大袈裟に感じるかもしれないが、下手な小説よりもよっぽど良く出来た漫画だと思う。絵も奇麗だしね。(同じストーリーでナニワ金融道みたいな絵だったら目も当てられないし、その逆もしかり)

あと第四の使徒で出てくる島崎藤村の詩も良い。
文学の感動は母国語の中にのみに存在するわけであるが、日本人として普通に教育を受けて、一般的な人生経験を積んだ人であれば島崎藤村の「初恋」の詩のいわんとしていることはわかるはずである。

「まだあげ初めし前髪の・・・」 今の時代いくらでも検索できるので続きはワインでも飲みながら読んでほしい。

残念ながら島崎藤村の人間性は褒められたものではないんだけど、芸術を究めんとする者の資質の一つが狂気であるならば、彼の人生において犯した罪は芸術性の表現のための必要悪だったのだろう。
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